最近、就農支援してくれるって聞いたんですけど・・・という電話がありました。行政書士がそういう手続きをやってくれると聞いたと言うのですが、私にはピンと来ませんでした。実際に農業関連の仕事を10年以上やってきたので、農業の辛さ、大変さは痛いほどわかります。よっぽどじゃないと挫折する可能性が高い職業です。ですから、お手伝い程度しか力になれないとある農家の方をご紹介しました。ましてや手続きにお金を取るということもちょっと意味が違うような気がする。自分の中ではボランティアの分野という感覚ですし、助成金みたいなのが出るのであれば就農する人が頑張って自分で行うべきだと思います。もちろん、その中でできる範囲で行政書士はお手伝いすれば良いことです。
それでは、例えばお米を作るとするとどれくらい費用がかかるか参考までに10アール当たりの計算でお話し致します。あくまで参考ですので、使用する肥料や農薬によっては費用は異なることをご了承下さい。
土 3〜4袋 2,000円〜3,000円
肥料 20キロ×2袋 3,000円
農薬(植える前) 1キロ×1袋 1,000円
農薬(植えた後) 1キロ×2袋 3,000円
※その他に田んぼのあぜ道を除草したり、田植えする前に肥料を混ぜたり苗箱の消毒・種子も含めると10アール当たりおおよそ12,000円〜13,000円。これにプラスしてトラクター・田植え機・稲刈り機・乾燥機・計り・軽トラック等1,000万円は軽く超します。中古という手もありますが結構頻繁に故障するのであまりお勧めはできません。それでいてお米の値段というのが農協の仮売渡金で1袋約6,000円前後。10アール当たりに16袋取れたとして96,000円。10アールの10倍の10ヘクタール耕作したとしても約1,000,000円。機械を買ったら元を取るのにも10年以上はかかります。これは結構大変です。
畑にしても同じです。私の知っている農家の方達の多くは野菜の価格がひどいときは1日2人で働いても4,000円にもなんなかったなんていう話もよく耳にします。ギャンブル性が強いので価格が良いときは面白いのですが、落ち込むと最悪です。季節にも左右されますし豊作でも値段は下がります。。まぁ、しいていうならば私だったらハウス栽培を中心にします。ハウスでしたら害虫も少ないし、雨・風も避けることができます。ただ、必ず大手の商社が参入してくると思うので、その時にそこに就職した方が無難のような気はします。大手の企業が参入して手広くやられたら個人では絶対に勝てませんから、あえて自分ではやらないですね。
この時代に農業をやりたいと言っている方は確かに貴重な人です。どんどん増えて行って欲しいとは私も思っています。ただ、就農支援に携わるなら市町村や農協を中心として行政書士はNPO法人や財団法人を設立して公益性が強いボランティア団体的な存在を目指すことが一番良いような気がします。
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